花粉の季節に皮膚科で勧められたり、ドラッグストアで見つけてスキンケアに取り入れたりと、イハダを日常的に使っている方は多いと思います。そして、「手元にイハダがあるし、虫に刺されたときにも使えないかな」とふと思う方も少なくないはずです。
結論から先に言うと、イハダのプリスクリードi・プリスクリードDは、虫さされが適応症に含まれていません。 製品によって適応できる症状の範囲が異なるため、「顔湿疹に使っている=虫刺されにも使える」というわけにはいきません。ただ、イハダシリーズの中には虫さされに対応している製品もあり、正しく使い分けることで手元にある薬を最大限に活用できます。
この記事では、イハダ各製品の適応症の違い・成分の特徴・虫刺されへの対応の可否を整理し、自分の症状に合った製品を迷わず選べるようにまとめています。
イハダとはどんなシリーズか
まず前提として、イハダの製品構成を簡単に押さえておきましょう。
イハダは資生堂が展開する、顔の肌トラブルを中心に対応するスキンケア・治療薬のシリーズです。薬用スキンケアラインと治療薬ラインがあり、今回取り上げる「プリスクリードi」「プリスクリードD」「キュアロイド軟膏」はいずれも医薬品に分類される治療薬です。
治療薬ラインは、顔・目元・口周りなどの繊細な部位に使いやすい設計が特長で、ノンステロイド処方を採用しているものが多いです。一方で、医薬品である以上、それぞれに定められた適応症(使える症状の範囲)が異なります。 この違いを理解しておかないと、手元にある薬を効果の出ない症状に使い続けることになります。
プリスクリードiとプリスクリードD、それぞれの適応症
まず、「使っている方が多い」プリスクリードiとプリスクリードDの適応症を確認しておきましょう。
プリスクリードi(クリームタイプ)
適応症:皮膚炎、湿疹、かゆみ、かぶれ、ただれ、あせも、おむつかぶれ
有効成分はウフェナマート(炎症を鎮める)、グリチルレチン酸(炎症を鎮める)、ジフェンヒドラミン(かゆみを鎮める)の3種類です。クリームタイプで目元がテカらない使い心地が特長で、第2類医薬品に分類されます。
プリスクリードD(エッセンスタイプ)
適応症:皮膚炎、湿疹、かゆみ、かぶれ、ただれ、あせも、おむつかぶれ
有効成分はウフェナマート(炎症を鎮める)とトコフェロール酢酸エステル(血行促進)の2種類です。べたつかないエッセンスタイプで、肌にすっとなじむ使い心地が特長です。こちらも第2類医薬品です。
どちらにも「虫さされ」は適応症に含まれていません。
なぜプリスクリードiとDは虫さされに使えないのか
「かゆみに効く成分が入っているのに、なぜ虫刺されに使えないのか」と疑問に思う方もいるでしょう。ここは成分の観点から整理する必要があります。
虫刺されのかゆみが起きるメカニズムは、虫に刺されたときに注入された毒液や唾液成分に対してアレルギー反応が起き、体内でヒスタミンが大量に放出されることによります。このかゆみを鎮めるために有効なのは、ヒスタミンの働きをブロックする「抗ヒスタミン成分」 です。
プリスクリードiには抗ヒスタミン成分のジフェンヒドラミンが含まれていますが、製品として承認を受けている効能効果の範囲に「虫さされ」が含まれていません。一方、プリスクリードDにはジフェンヒドラミン自体が含まれておらず、そもそも抗ヒスタミン作用を持つ成分が処方に入っていません。
医薬品は「承認された適応症の範囲内で使う」ことが原則です。適応外の症状に使うことは、効果が保証されないだけでなく、症状の適切な判断が遅れることにもつながります。
注意:プリスクリードiにはかゆみを鎮める成分が含まれていますが、製品として虫さされへの使用は承認されていません。使用する際は必ず添付文書の適応症を確認してください。
虫さされに使えるイハダ製品はキュアロイド軟膏
イハダシリーズの中で、虫さされに正式に対応している製品があります。それが 「イハダ キュアロイド軟膏」 です。
キュアロイド軟膏の特徴
適応症:皮膚炎、湿疹、かゆみ、かぶれ、あせも、じんましん、虫さされ
有効成分は5種類で、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル(アンテドラッグステロイド)、ジフェンヒドラミン、リドカイン(かゆみを鎮める)、イソプロピルメチルフェノール(殺菌消毒)、トコフェロール酢酸エステル(血行促進)が配合されています。指定第2類医薬品です。
プリスクリードiとDとの大きな違いは2点あります。ひとつはステロイド成分(アンテドラッグステロイド)を含むこと、もうひとつは適応症に「虫さされ」と「じんましん」が明記されていることです。
アンテドラッグステロイドとは、患部で優れた抗炎症効果を発揮したのち、体内に吸収されてからは速やかに分解されて低活性になるよう設計されたステロイド成分です。通常のステロイドと比べて副作用リスクへの配慮がなされているとされていますが、ステロイドが入っている点はプリスクリードiやDとは異なります。
要点:イハダで虫さされに使えるのはキュアロイド軟膏。プリスクリードiとDは顔の湿疹・皮膚炎向けで、虫さされは適応外です。
キュアロイド軟膏を使うときの注意点
キュアロイド軟膏は虫さされに対応していますが、ステロイド成分が配合されているため、使い方の注意点があります。
顔面への広範囲使用は避けてください。 添付文書には「顔面には広範囲に使用しないでください」と記載されています。頬や額など広い面積に使い続けるのは推奨されていません。虫に刺された部位がピンポイントであれば問題ない場合が多いですが、迷う場合は薬剤師に相談するのが確実です。
また、水痘(水ぼうそう)、みずむし・たむし等、化膿している患部への使用は禁止されています。虫刺されの患部が引っかいて傷になっていたり、膿が出ている場合は使用を控えて医療機関に相談してください。
さらに、1〜2週間使用しても症状が改善しない場合は使用を中止して、医師や薬剤師に相談するよう添付文書に記載されています。ステロイド成分が含まれるため、自己判断で長期間使い続けるのは注意が必要です。
新生児・乳児への使用も避けてください。幼児からは使えますが、小さなお子さまへの使用は保護者がよく観察しながら行うことが求められています。
プリスクリードiとDは、どんなときに使うのか
虫さされには使えないと分かったうえで、プリスクリードiとDが本来どんな場面で使われる製品かを改めて整理しておきます。
プリスクリードi の得意な場面
花粉による目元のかゆみ・かぶれ、ハウスダストや化粧品による顔の炎症・かぶれ、乾燥による湿疹など、顔の皮膚炎・湿疹系トラブルに向いています。クリームタイプで目元がテカらないため、目の周りにも使いやすい設計です。
プリスクリードiには抗ヒスタミン成分(ジフェンヒドラミン)が含まれており、かゆみ止め効果が処方に組み込まれています。花粉シーズンに目元や鼻の下が赤くかゆくなる方には特に使いやすい一品といえます。
プリスクリードD の得意な場面
顔に赤みやぶつぶつが出るタイプの湿疹・皮膚炎に対応するエッセンスタイプです。ウフェナマートが炎症を鎮め、トコフェロール酢酸エステルが血行を促進することで治癒をサポートします。資生堂独自の超微細エマルジョン技術により、肌なじみがよく設計されています。
サラサラとした使い心地で、コンパクトサイズのため持ち歩きにも便利です。外出先で突発的な肌荒れが気になったときのケアにも活用できます。
要点:プリスクリードiはかゆみ・かぶれ主体のトラブルに、プリスクリードDは赤み・ぶつぶつ主体のトラブルに向いています。どちらも顔の皮膚炎・湿疹向けです。 😊
症状別・製品選びの整理
ここまでの内容を、症状に応じた使い分けとしてまとめます。
顔の目元・口周りがかゆい、かぶれている(花粉・乾燥・化粧品かぶれなど)
→ プリスクリードi を選ぶのが基本です。目元に使えるクリームタイプで、ノンステロイドのため長期ケアにも向いています。
顔に赤みやぶつぶつが出ている(湿疹・皮膚炎)
→ プリスクリードD がよい選択肢です。エッセンスタイプで肌なじみがよく、ベタつきを抑えながらケアできます。
虫に刺されてかゆみや腫れがある(顔・からだ問わず)
→ キュアロイド軟膏 を選んでください。適応症に「虫さされ」が明記されており、かゆみ止め・抗炎症・殺菌消毒の3つが揃った処方です。顔の広範囲使用は控え、刺された部位にピンポイントで使います。
かゆみが非常に強く、炎症・赤み・腫れが目立つ(繰り返す皮膚トラブル)
→ キュアロイド軟膏 の適応です。ただし、症状が強い場合や長期化する場合は皮膚科への受診を優先してください。
イハダで対応できないケース
イハダの治療薬が適していない場面も把握しておくことが大切です。
傷や化膿している部位への使用は禁止です。 虫刺されを引っかいて傷になってしまっている場合、プリスクリードiでもDでもキュアロイドでも、傷口への使用は想定されていません。傷が伴う場合は別の対処が必要です。
2週間以上症状が改善しない場合は皮膚科の受診が必要です。 OTC薬は一時的なセルフケアを前提としています。繰り返す皮膚炎、アトピー性皮膚炎の疑い、または症状が広がる場合は、早めに皮膚科で診断を受けることをすすめます。
また、使用後に皮膚が悪化する・刺激感が強まるなどの副作用が出た場合は即時使用中止です。医薬品は合わないケースもあります。添付文書の「使用後、次の症状があらわれた場合は中止・相談」の項目を事前に確認しておいてください。
まとめ
イハダのプリスクリードi・プリスクリードDは、顔の皮膚炎や湿疹・かぶれに特化した治療薬であり、適応症に虫さされは含まれていません。 手元にあるからといって虫刺されに使い続けるのは、適応外使用になります。
イハダシリーズの中で虫さされに正しく対応しているのは、ステロイド配合の 「キュアロイド軟膏」 です。成分・適応・注意点を確認したうえで正しく使い分けることが、症状を早く改善させるための第一歩といえます。
製品の使用に迷う場合は、購入前にドラッグストアの薬剤師や登録販売者に症状を伝えて相談してみてください。医薬品は適切な使い方をしてはじめて効果を発揮します。 📝


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